これまで MVP Summit や Microsoft Build には参加してきましたが、今年は初めて GitHub Universe にも現地参加してきました。サンフランシスコは 12 年振りだったのでかなり懐かしいです。
会場は主に YBCA と SFMoMA が使われていて、規模としては Microsoft Build などと比べると小さいです。
今年の Universe が終わったばかりですが、今週の 17 日までは Universe 2024 のチケットが Super Early Bird として 60% off の $500 で販売されているのでお得です。Universe 2024 は 10/29-30 で開催されます。
ワークショップやパートナー向けイベントでは YBCA の隣にある Hyatt Regency San Francisco Downtown SOMA が使われていて、前日にはレジストがここで行われていました。パネルも置かれています。
イベントではお馴染みのバッジですが、今年の GitHub Universe では All Access Pass を購入した人には、電子ペーパーを利用したカスタマイズ可能なバッジが追加で配られました。レジストの際に QR コードを読み込んで設定されていて面白かったです。
このバッジの OS は GitHub 上で公開されていて自由にカスタマイズが可能です。
YBCA の入り口には巨大な Octocat のオブジェが置かれていて、撮影スポットとなっていました。自分もセッションの合間を利用して記念に撮影してもらいました。
GitHub Universe なので Hubbers はほぼ全員が GitHub の名前入りパーカーを着ていましたが、参加者も GitHub のパーカーを着ている人が多かったです。当然ながら自分もその一人でした。
ここからは簡単にですが写真をメインに GitHub Universe 2023 のセッションについて書いていきます。
Day 1 / Day 2 キーノート
All Access Pass を購入している場合のみキーノートを会場で見ることが出来るので、もちろん早起きしてキーノート会場に直行して参加してきました。最初は CEO の Thomas Dohmke 氏から Copilot についてひたすら話がありました。GitHub は AI-powered developer platform になりつつあります。
この 1 年ほどで急速に AI 周りが進化したので、Day 1 キーノートでは AI の話が中心です。
そして GitHub Copilot Chat は 12 月に GA することが発表されました。これまでの Copilot はあくまでもコード補完に近いものでしたが、Copilot Chat ではよりインタラクティブに利用できます。コンテキストを与えて質問やコード生成の指示が出せるのも特徴です。自分も Copilot Chat が本命だと考えています。
諸々の発表が終わった後に Thomas 氏が壇上に戻ってきて、ジョブズの真似で One more thing... スライドを出してきたので笑ってしまいました。WWDC は YBCA の隣にあるモスコーンセンターで行われていたので、それを意識したものでした。
気になる One more things は GitHub Next Vision と銘打った Copilot Workspace の発表でした。あくまでも現時点ではコンセプト動画ぐらいしか公開されていませんが、Copilot によって大きく開発が変わることを示していました。このコンセプトの全てが実現されるとは思っていませんが、AI によって人間は更に大きく重要な課題に取り組めるようになりそうです。
来年の GitHub Universe では更に進化した姿を見ることが出来そうなので今から楽しみです。
Day 1 のキーノートは AI ばかりでしたが、Day 2 のキーノートはもっと地に足が付いた DevEx の話が多かったです。GitHub の価値であるコア機能についても拡充がされています。特に昨今はセキュリティ周りが今まで以上に重視されている印象を持ちました。
セキュリティ周りについては GitHub Advanced Security 含めセッションが多かったですし、AI を使った機能強化の発表もいくつか行われていました。個人的にはセキュリティ周りこそ AI で楽したいと思っています。
GitHub Actions についてもいくつか発表がありましたが、事前に公開されていたものも多かったです。特に GPU hosted runner は機械学習系で役に立つでしょう。
後は M1 の macOS hosted runner の話がありましたが、会場で流れた動画では Mac mini をそのままラックにマウントするのではなく、中身を取り出してマウントしていて面白かったです。以下の画像は Mac mini の抜け殻ですが、こんなことしていれば母なる自然からブチ切れられそうです。
ここ最近の機能としては Branch protection rules の上位互換版と言える Repository rules が追加されています。キーノートでも大きくアピールされていて個人的には非常に気になっていますが、まだ検証レベルでしか触っていないのでもうちょっと深堀したいところです。
このように Day 1 は AI と未来を、Day 2 は DevEx と現在という形で発表が綺麗に分けられていました。Day 1 だけ見ると AI の話ばかりなので不満もあると思いますが、しっかりと GitHub の重要な部分については取り組まれているという印象です。
各セッションのハイライト
日本にも来たことがある Kyle 氏のセッションは AI の活用について納得感の多い話が多かったです。個人的には AI がコーディング全てを行うみたいなことは思っておらず、基本は Copilot としてサポートしてくれるものという認識です。そのあたり Kyle のセッションを聞きながら頷いていました。
GitHub の中の人も度々言っていますが、単純でつまらないコーディングを AI に任せることで、人間はより大きな課題に取り組むことが出来るというのが本質というわけですね。
そして "Our second brain" という表現は個人的にとてもしっくりきました。
最後は AI は "Start small, but start now" という強いメッセージで終わりました。Bing Chat や GitHub Copilot など今使えるツールがあるのに、他社事例を欲しがるようでは AI の活用なんてものは到底無理でしょう。
このご時世、どうしても AI / Copilot のセッションが多かったのですが Mario 氏のセッションは DevEx に関するものでした。タイトルに 3 回も Developer と出てくるのでバルマーを思い出しました。
GitHub が大切にしているのはやはり Developer Experience なので、AI の活用もその一環ですね。あくまでも GitHub の AI は Copilot であって、人間が大きな仕事をするための道具です。
そして "DevEx is not features... it's flow" という言葉でセッションが締めくくられました。実際に GitHub を使って GitHub を開発している人の言葉は説得力がありますね。AI だけではなく DevEx のためにも GitHub は多くの投資を行っていることが分かります。
今回の GitHub Universe では AI について沢山のセッションがありましたので、特に新しく発表された GitHub Copilot Enterprise についての話を多く聞いてきました。特に Fine-tuning は多くのコードベースを持つ企業では試す価値があると思うので、非常に興味深く聞いていました。
Custom Models は非常にシンプルに有効化出来るので、気軽に試せるのが非常に良いと思いました。どのくらい使い物になるのかは試してみないと分かりませんが、独自のフレームワークやライブラリを作っている場合にはかなり有効ではないかと考えています。
別のセッションになりますが GitHub Copilot Enterprise は以下の Recap が分かりやすかったです。
GitHub Copilot Enterprise に Custom Models (Fine-tuning) は含まれていますが、デモで何回か紹介されていたドキュメントを利用した RAG とは異なる点に注意が必要です。
後はセキュリティ周りのセッションを多めに聞いてきました。GitHub Advanced Security も AI で強化されようとしていますし、正直なところ一番 AI で楽をしたい部分だと考えています。
GitHub では Proactive Security として GitHub Advanced Security / Codespaces / Copilot を提供しています。GitHub Advanced Security には Dependabot も含まれていて、Supply Chain Attack への対応をある程度は自動化可能です。Secret Scanning が全体的に強調されていましたが、個人的にはあまり重視していません。
後はほぼ唯一といっても良い Azure のセッションがあったので聞いてきました。よくある Azure を利用した RAG の実装の話ではあるのですが、App Service を始めとする PaaS / Serverless だけで構築されているのが特徴です。AI で楽をしたいのに、そのために運用コストをかけていては意味がないので正解です。
Azure Cognitive Search は Ignite で Azure AI Search に名前が変わったことだけ補足しておきます。
GitHub Universe 会場の様子
キーノート会場の入り口前にはアーチとポスターが掲げられていました。Build Today Transform Tomorrow は Universe 2023 のキャッチコピーだったようです。左下に見えている銀色は PayPal のコーヒーです。
スポンサーブースは中心に GitHub が DevEx や Security などでブースを出していて、ギラギラと輝く光景はさしずめクラブという感じです。DJ もいますし海外のイベントという感じですね。
会場内には GitHub Stars の名前が入った星のステッカーが道に貼られていました。Walk of fame とのことですが、人の名前が入ったステッカーを踏んでしまいそうになるので焦ります。
GitHub Stars だけではなく、GitHub Universe のステッカーもいたるところに貼られていました。これは初日の朝に撮影したので綺麗な状態でした。
キーノート会場の隣では PayPal が Coldbrew ならぬ Codebrew Cafe を出していて、GitHub にちなんだオリジナルラテを提供していて面白かったです。
常に大行列だったのでバリスタのお姉さん達は休む間もなく大変そうでした。自分は Git a Latte ではなく抹茶ラテを飲んでしまいましたが美味しかったです。
GitHub HQ でのパーティに参加
今年の GitHub Universe では GitHub の認定試験の一般向けローンチが行われて、パートナー向けに GitHub HQ でパーティが開催されたので参加してきました。サンフランシスコにある GitHub HQ もなくなるはずなので入れる最後の機会かもしれません。
中に入るといたるところに Octocat モチーフの絵やぬいぐるみがあり、全体的にオシャレなオフィスでした。
パーティでは社内にあるバーでカクテルが提供されましたが、そのカクテルの名前が GitHub 認定試験に沿ったものになっていて面白かったです。自分が持っているのは Actions と Advanced Security だったので、その二つをモチーフにしたカクテルを飲んでいました。
GitHub Universe 期間中には他にも OSS メンテナー・コントリビューター向けのパーティも開催されていたので、もし次に機会があれば参加してみたいと思っています。