しばやん雑記

Azure とメイドさんが大好きなフリーランスのプログラマーのブログ

既存 App Service の実行基盤も VMSS に移行され始めた模様

昔にデプロイした Azure App Service の実行基盤はトラディショナルな Cloud Services で構築されているのですが、少し前に Cloud Services ベースで動いていた App Service が VMSS ベースに切り替わっていることに気が付きました。いつかは移行されると思っていましたが、既に始まっているようです。

App Service で Cloud Services と VMSS を見分ける方法は、以下のように Azure Monitor などでインスタンス名が RD から始まるかどうかをチェックするだけなので簡単です。去年末から今年初めまでは No fly が続いていましたが、今月中旬以降からアップデートが再開され、そのタイミングで切り替わっていました。

既に何回か App Service が Cloud Services ベースから VMSS ベースに切り替わっていることは書いてきましたが、基本的には新規デプロイ時に Premium V3 を選択しないと確実に割り当てられることはなく、実行中の App Service が VMSS に切り替わったのは今回が初めてです。

VMSS に切り替わることで Cloud Services とはドライブレターが変更され、アプリケーションの作りによっては多少影響が出る可能性もあります。詳しくは以下のエントリを参照してください。

数日前まで動いていたアプリケーションが急にエラーになった場合には、VMSS への切り替えが影響している可能性があるので、早めに Azure Monitor などで確認するとベターです。

以前にも Premium V2 が利用できない App Service に対して Retrofit が行われて、Premium V2 が必要だった Regional VNET Integration などに一部対応したという例があります。

今回はフル機能の VMSS ベースの Scale unit に切り替えられているようなので、新しくデプロイしたものと同じ機能が使えるようになっています。特に IP アドレスの変更が行われた形跡もないため、完全にシームレスな移行が行われているようです。

VMSS ベースに切り替わると Premium V3 へのスケールアップが可能になるため、これまではスケールアップには再デプロイが必要でしたがその必要が無くなります。それ以外にも Standard / Basic でも Regional VNET Integration が利用可能になるメリットもあります。

特に App Service のネットワーク系新機能は VMSS ベース向けにしか提供されないというケースが多かったので、既存の App Service に対しても Cloud Services から VMSS への移行が行われたのは喜ばしいですね。

これまで最初は Premium V3 を選択してデプロイするという方法をお勧めしていましたが、全て VMSS ベースに切り替わってしまえば必要なくなるため、Bicep や Terraform を使ったデプロイも楽になるはずです。

Premium V3 が使えない Japan West は VMSS に当たるかランダムでしたが、この問題も解消されそうです。