しばやん雑記

Azure とメイドさんが大好きなフリーランスのプログラマーのブログ

Snapdragon X Elite 搭載の Surface Laptop 7 と 10GbE と Wi-Fi 7 に対応した Deco BE85 を購入した

いい加減に Surface Laptop 4 が遅くて熱くて USB-C が 1 つしかないのに耐えられなくなったので、Build 2024 の前日に発表された Snapdragon X Elite を搭載した Surface Laptop 7 を購入して乗り換えました。

搭載メモリ量を 16GB と 32GB でかなり悩みましたが、SLM を使う場合にはそれなりの量のメモリが必要になることが分かっていたので、今回も最上級モデルを購入することにしました。

Surface Laptop 3 から Surface Laptop 4 に乗り換えたのが 2021 年だったので、3 年も使ったことになります。Laptop 5 はマイナーチェンジにも程があったので見送った記憶があります。

巷では Copilot+ PC であることがアピールされていますが、個人的には Intel より高速な Snapdragon X Elite を搭載した Windows on Arm な PC という点で購入しているので、宣伝されている Copilot+ PC な機能にはそこまで興味を持っていないです。*1

将来的に Recall が使えるようになったら結構面白そうなので試してみたいですね。ライブキャプションやカメラでのスタジオ効果はまだじっくり試す機会がない感じですが、軽く触った感じではローカル処理とは思えない精度が出ていたので、今後の日本語対応に期待です。

スペックとしては前述したとおり Snapdragon X Elite が搭載されて、ようやく Intel CPU と十分に戦えるレベルの性能を得た Windows on Arm マシンという感じです。ベゼルが細くなって解像度が高くなり、フレームレートも 120Hz になったので気持ちスムーズに動きます。

Surface Laptop 4 からの乗り換えなので進化したポイントはかなり多い印象です。特に嬉しいのは日本語キーボードのレイアウトが慣れ親しんだ Designer Compact Keyboard と同じ、スペースキーの横に IME 切り替えキーが付いたことです。正直これだけのために買い替えてもよいレベルです。

それ以外にもハードウェア面での進化としては USB-C がようやく 2 つになったので、給電と外部モニター接続が同時に行えるようになったのも地味に嬉しいポイントでした。ちなみに Surface Laptop 4 と比べると本体は些か分厚くなっています。

既に Visual Studio などをセットアップして常用していますが、これまでの Windows on Arm にあったようなパフォーマンス面での不満は感じていません。Visual Studio は ReSharper を入れた状態でも問題ない速度で動作しています。この辺りは Snapdragon X Elite の進化を感じる部分です。

今回購入した Surface Laptop 7 は 13.8 インチの最上級モデルなので、32GB メモリと 1TB ストレージを搭載しています。CPU の SKU は X1E-80-100 なので Surface に関しては全て同じ SKU のようです。

CPU-Z の Windows on Arm 対応版を使って CPU 情報を表示させてみると、正しく Snapdragon X Elite だと認識されていて内部的には 2 つのクラスタで 4+8 の 12 コアになっていることがわかります。

タスクマネージャで見る限りではあまりブーストしていない印象だったのですが、CPU-Z で見ると 4GHz まで上がっていることが確認できました。正直最上級モデルなら X1E-84-100 を搭載しておいてほしかったのですが、この SKU でも性能面では特に不満を感じてはいません。

メモリは LPDDR5x-8448 なので可能な限り最速のモデルが積まれていることがわかります。搭載メモリ量によって変わる可能性がありますが、32GB モデルの場合はこの通りでした。

例によって CPU-Z のベンチ機能を使って雑にパフォーマンスを確認しておきました。シングルスレッドはこれまでの Windows on Arm 向け CPU とは比べ物にならない性能で、マルチスレッドは Surface Laptop 4 の 2 倍以上を叩き出しています。

雑比較ですが Snapdragon X Elite のシングルスレッド性能は Ryzen 9 5950X と同じぐらいのようです。ラップトップ向けには十分すぎる性能です。

ストレージは Samsung の PCIe 4.0 対応 SSD が搭載されていたので、Surface Laptop 4 の倍ぐらいの性能が出ていて非常に満足です。Visual Studio のインストールもストレスなく完了するぐらいの性能でした。

GPU 周りについては、この Surface Laptop でゲームなどを行う予定はないため重要視していません。せいぜい YouTube の 4K 動画がスムーズにデコード出来れば良いというレベルなので問題ありません。

NPU 周りは Phi-Silica が使えるようになる Windows App SDK がリリースされたタイミングで、ONNX Runtime からの利用を含めて一通り検証してみるつもりです。DirectML での NPU を使ったアクセラレーションがどのくらい効くのかを、AI Toolkit を使ったお手軽な方法では確認出来ませんでした。

今回 Surface Laptop 7 が Wi-Fi 7 に対応することが分かっていたので、同じタイミングで自宅の Wi-FI ルーターを Wi-Fi 7 対応のものに入れ替えることにしました。これまで NEC のルーターを使っていましたが、特定ホストで謎の TLS エラーが頻発するため嫌気が差していたので丁度良かったです。

とはいえ 10GbE と Wi-Fi 7 に対応したルーターは非常に数が限られているので悩みましたが、今回は TP-Link の Deco BE85 を購入しました。決め手としては SFP+ が直接刺さる点とシンプルなデザインです。

正直なところ TP-Link というメーカー自体に心配はありますが、日本メーカーはまともにファームウェア更新をしてくれないので、問題があればアップデートをしてくれる TP-Link のが良いだろうという気持ちです。グローバルで使われているということは、問題が見つかるのも早いだろうという点も考慮しました。

サクッと入れ替えて Surface Laptop 7 から接続してみると、正しく Wi-Fi 7 として繋がっていることが確認出来ます。但しリンク速度的には 320MHz ではなく 160MHz で繋がっているようなので、原因はルーター側なのか Surface Laptop 側なのか今後切り分けする必要があります。

Wi-Fi 7 で追加された MLO ネットワークを有効化すると、Windows 側でも 5GHz と 6GHz の情報が表示されて MLO が有効になっていることが確認出来ました。

ただし集計リンク速度は 6GHz だけの時と変わっていないのと、実際に速度を図ってみると逆に遅くなるという挙動も見られたので、ファームウェアやドライバが未成熟なことに原因がありそうです。

6GHz だけで速度を測ってみると 1.8Gbps とかなりその速度が出ていますが、320MHz でリンクしていればもう少し出るのではという期待をしています。Surface Laptop が 160MHz までの対応とかだと厳しいです。上りが異常に遅いのはドライバの問題だと思っています。

結論としては Deco BE85 が 320MHz で電波を出しているのかはっきりしないので、確実に 320MHz に対応した端末で確認する必要が出てきました。対応端末を探す方が大変なので、正直なところ以下のような M.2 のカードを買うしかないのかという気持ちになっています。

若干 Wi-Fi 7 周りが長くなりましたが、全体を通して Surface Laptop 7 は大きな進化を遂げたこともあり、Windows on Arm での懸念事項になりがちなパフォーマンスは不満がありません。

もう少しファームウェアが成熟すると更に良くなりそうな気配を感じるので、NPU の活用を含めキャッチアップしていくつもりです。正直キーボードレイアウトが最高なので手放せません。

*1:ただし Windows Copilot Runtime やそれに含まれる Phi-Silica などにはめっちゃ興味がある