しばやん雑記

Azure とメイドさんが大好きなフリーランスのプログラマーのブログ

希少がんが見つかってから回復するまでの記録

去年の夏に受けた内視鏡検査で消化器に病変が見つかった。そして昨日、手術で摘出した病変の病理診断の結果が出て、主治医からは完治と言われたテンションで書いている。

幸いにも発見が早く、病変も大きくなかったため 1 月末に入院して行った手術だけで済んだが、今後も定期的に検査を受けて再発や転移には気を付けなければならない。

ちなみに今回見つかったものは正確にはがんではなく、神経内分泌腫瘍*1という珍しい腫瘍だった。しかし、一般的には希少がんという扱いになっているらしいのでそう書いた。

32 歳でこういった病気が見つかるとは思わなかったのと、今やこういった悪性腫瘍は誰にでも起こりうるし、その場合には早期発見が非常に重要となるので、他の誰かの参考になれば良いなと思っている。

私の家族は既に両親ががんで、母は去年に亡くなっている。実家で飼っている愛犬も腫瘍が見つかって手術を行ったぐらいの、ある意味偏った環境にあった。

発見から確定まで

がんとは関係のない病気で入院し行った内視鏡検査で、担当の先生から粘膜下腫瘍があると告げられた。その時はポリープなどと同じように内視鏡手術ですぐに取れるみたいな話だったが、組織を採取して病理診断を行ったところ神経内分泌腫瘍という結果だった。

入院していた病院では対応できないらしいので、退院後に別の大きな病院を紹介された。

紹介状を持って病院に行くと、主治医となる先生からいろんな可能性を教えてもらった。話を聞いた感じでは悪性度によっては複雑なことになるらしいが、とりあえずは手術で病変を摘出して詳細な病理診断を行ってから考えるということになった。その日は基本的な検査を午前中ずっと行って終わった。

別の日に主治医が実施する内視鏡検査が行われて、その検査結果を元に実際の手術をどうするかという話を 2 週間後ぐらいに行った。先生から家族を連れてきた方が良いと言われたので、父に連絡してきてもらった。*2

超音波内視鏡を使った検査の結果は浅い部分で病変が留まっていたこともあり、今回は ESD という手法で摘出することになった。ちなみにこの時で病変の大きさは 7mm と言われていた。

紹介された病院は ESD を数多く行っていたので安心感はあったし、分からないことや不安なことをいろいろと先生に聞いたが、全て丁寧に説明してくれたのでとても信頼出来た。

その後は入院日の確定やら、手術によって起こりうるリスクなど様々な説明を受けて終わった。

仕事周りについて

内視鏡を使う手術なので入院期間は 1 週間ほどと比較的短く済むらしいが、フリーランスなので入院している間はそのままだと収入がゼロになるのと、そもそもちょうど仕事が佳境だったのもあり、病院に Surface Book 2 を持ち込んでおいた。

事前に仕事関係でお世話になっている方々には入院することを伝え、入院前に仕事をほぼ終わらせておいた。

会社員と違ってフリーランスはこういう時に大変なんだと思いつつも、病気を心配し、快く入院で離脱することを受け入れてくれた方々に感謝の気持ちでいっぱいだ。これから精一杯返せるように頑張る。

手術と入院生活について

流石に手術の前日は緊張で眠れなかったので、導入剤を貰って寝たら寝坊した。

手術自体は事前に薬を点滴で入れられているのであまり記憶がないし、時間の流れも分からなくなっていたが、手術台の横にはオリンパスと書かれた機械が大量に並んでいた。なので私の命はオリンパスに救われたといっても過言ではないと思う。

基本的に手術後は痛みとかはないが、常時点滴が付いているので移動は制限されるし、一人暮らしだとそういう場合に飲み物すら買うことが出来なくなるのでとても辛かった。ベッドから動けないので、ずっとゴロゴロと Prime Video や Kindle を楽しんでいた。

数日後には点滴が外れたのでコンビニに水を買いに行くことも出来たが、手術をした後なので体は当然ながら炎症反応が多く出ていて凄く怠かった。血液検査の結果は若い先生が詳しく教えてくれたし、例によって分からないことをいろいろ聞いてもしっかり答えてくれた。

こういった病気の治療では患者が自分から積極的に治療に関わっていく姿勢が大切だと、父を見て知っていたので分からないこと、不安なことについては先生としっかり話をするようにしていた。

入院後半は少し体調が戻ってきたので、Surface Book 2 を出してコードを書いたりしていた。ちょうど Issue も上がってきていたので、結局入院中に GitHub Release を 3 つも作ってしまっていた。

Prime Video や Kindle、そして Surface Book 2 で GitHub を使っていると通信量が大変なことになった。

そんなこんなで退院の予定日になり、最後の回診でも特に問題はなかったので、午前中に退院することになった。入院前に限度額適用認定証を出していたが、基準額を下回っていたので特に意味はなかったらしい。

限度額適用認定証は毎年貰う必要があるが、発行自体は区役所に行けば一瞬なので損はなかった。入院費がいくらかかるなんて事前に知る方法はないので、とりあえず出しておくのが正解。

こうして退院後は摘出した病変の診断結果を震えながら待つことになった。

やはり結果が凄く気になるし実際怖いので、出来るだけ考えないように、いつも通りに仕事をして、いつも通りに遊ぶという生活を心掛けた。この辛い 1 週間を乗り切れたのは、芝社での飲み会やぼんぷろ師匠、ぶちぞう RD のおかげなので感謝しかない。

病変の診断について

既に冒頭で書いた通りだが、昨日に手術記録の説明と病理診断の結果を主治医から聞き、病変が小さく悪性度が一番低いという結果*3だったため、今回の手術を持って完治という話になった。

完治といっても今後のフォローは必要なので油断は出来ないが、ひとまずは安心できる結果となった。

今後も 1 年に 1 度は検査を行っていく必要があるが、早期発見出来るには越したことはないので、ちゃんと行っていく。まずは手術跡の確認のための検査が半年後に控えているので、忘れないように受診する予定。

医療保険は大事

同年代や若い人にアドバイスしておきたい点としては医療保険がある。周りで話を聞いてみると、医療保険には未加入という人が非常に多かったので心配している。

私の場合は両親ががんになったということもあり、以前からがん保険には加入しており、30 前にはよくある医療保険にも加入していた。そのため今回の入院・手術でかかった費用はほぼ返ってくるため、経済的な心配をしなくて良いというのが大きかった。

参考までに私が加入している保険は以下の通り。

  • 医療保険(がんなどの特約付き)
    • 約 5000 円 / 月
  • がん保険(入院・通院の保障付き)
    • 約 4000 円 / 年

もちろん毎月・毎年の経済的な負担は発生するが、払えないというような額でもないはずなので、いざという時のためにも加入しておくことをお勧めする。医療保険は控除対象なので、そういう意味でも損はしない。

自分で保険を選んだわけではなく、全てをこういうのに詳しい父に任せていたが、こんなにも早くに助けられることになるとは思わなかった。特に医療保険の方は診断書次第では、今後の保険料の払い込みが不要になる可能性があるとのこと。*4

悪性腫瘍などの診断がされると基本的に新しい保険に入ることは難しいので、予め入っておくことが重要になってくる。後から泣きを見ないためにも、安く入れる若いうちから考えておいた方が良いと思う。

終わりに

私の場合は幸いにも早期発見だったため手術で回復出来たが、年齢関係なく誰にでも起こりうる話なので、多少説教臭くなってしまったが参考にしてもらえれば嬉しい。

大きな病気をすると健康の大切さと、これからの生き方について考えるようになった。後悔しないように生きていきたいし、もっと人生を楽しみたいという気持ちが強くなった。

とりあえず死ぬまでには Microsoft Corp の面接を受けてみたいという気持ちになった。ただし日本語に限る。

*1:今は NET、昔はカルチノイドとも呼ばれている

*2:父は闘病生活が長すぎて病院でのこういう話に慣れている

*3:最終的には病変は NET G1 という評価がされた

*4:そういった特約が付けられていた