ついに App Service での対応によって Windows Containers を利用する機運が個人的に高まってきたので、前から気になっていた ACR Build を使って ASP.NET 向けのイメージをビルドしてみました。
VSTS や AppVeyor でも Docker Image を作ることは出来ますが、ACR Build の方が優れている部分がいくつかあります。自動で OS Image が更新されたときにビルドしてくれるとか最高ですね。
ドキュメントには Windows という文字が全く出てこないのですが、Azure CLI 2.0 を叩いていると OS を指定できるようになってるので、今は問題なく使えます。
とりあえずチュートリアルを参考にマニュアルでのビルドを試します。
これまで VSTS や AppVeyor ではタスクを定義したり、yml を書いたりしてイメージをビルドしてきましたが、ACR Build では Dockerfile を読んでビルドする機能しかないので、予め既存の Dockerfile を Multi-stage builds を使うように変更します。
軽く調べた感じでは ASP.NET の Multi-stage builds を見なかったので良い機会です。
ASP.NET アプリケーションを Multi-stage builds 化
先に Multi-stage builds を使うように既存の Dockerfile を修正します。公式ドキュメントがあるので、読みながら進めていけば大体問題ない感じです。それよりも .NET 固有の部分のがはまります。
要するにビルド用のイメージと実行用のイメージが必要になるのですが、ちょっと前にイメージが整理されて .NET Framework のビルドイメージが利用しやすくなっています。
今のバージョンはビルドは問題ないですが、一部のコンポーネントが正しくインストールされていないので動作しない機能もあります。特に Razor のプリコンパイル周りが動作しないので、Issue を上げています。
Dockerfile の中で nuget restore と MSBuild を実行すれば良いので、割とシンプルに書けます。
# escape=` FROM microsoft/dotnet-framework:4.7.2-sdk as build COPY . . RUN nuget restore; ` msbuild .\AspNetApplication\AspNetApplication.csproj /nologo /v:m /t:Build /p:DeployOnBuild=true /p:PublishProfile=FolderProfile FROM microsoft/aspnet:4.7.2 COPY --from=build ./publish/ /inetpub/wwwroot
注意点としては .NET Framework のイメージを使うと、デフォルトのシェルが PowerShell になっていることぐらいです。なので、よく使われるように && でコマンドを繋ごうとするとエラーになります。
それ以外は特に書くことがありませんでした。プロジェクト全体は以下のリポジトリで公開しています。
AppVeyor でのビルド定義も同時に置いてあるので参考にしてください。
ACR Build でイメージを作成
ASP.NET アプリケーションを Multi-stage builds に変更したので、1 コマンドで ACR Build を使って Docker Image の作成が行えます。OS の指定だけ間違えないように注意です。
az acr build --registry aspnetsample --image aspnetapp:v1 --os Windows https://github.com/shibayan/appveyor-aspnet-docker.git
Cloud Shell でコマンドを実行しましたが、大体 7,8 分ぐらいでビルドが完了しました。最低限の Server Core イメージはキャッシュされているみたいなので、AppVeyor よりは多少高速です。
最後の方にイメージの依存関係を出力してくれます。ビルドタスクを組んでいると、イメージが更新されたタイミングでリビルドしてくれるらしいです。
プッシュされたイメージは Azure Portal から確認できます。
ちゃんとプラットフォームは Windows になっているので問題ないです。ACR Build を使うと面倒な権限周りの設定が不要なのも利点ですね。
Web App for Containers にデプロイ
最後に作成したイメージを Web App for Containers にデプロイします。といっても Azure Portal からドロップダウンで選択していくだけなので特に説明不要ですね。
保存して暫く待つとイメージが入れ替わって、ACR Build で作成したものになります。中々変わらない場合は再起動すれば大体はイメージを取り直してくれます。
ちゃんと ASP.NET MVC のアプリケーションが動作するところまで確認出来ました。
本来なら ACR Build でのイメージ作成が完了して、ACR にプッシュされたタイミングでステージングスロットにデプロイし、コンテナを起動したのちにスワップで本番リリースという流れを組みたいのですが、今のところは Web App for Containers 側の対応が足りないので残念です。
とはいえ、Windows Containers を使った開発から CI/CD、実行環境まで整った感があるので、後は Web App for Containers の進捗を待つという形になりそうです。